神奈川県
二宮


 

この夏の異常な猛暑を引きずる様に、10月に入ってからも、相変わらず30度近い残暑が続いている、

今年の竹山の状況が気がかりになっていたところ

竹作り仲間のS氏から、「近場でいい山が在るから、行ってみないか」と誘の電話,

昨年同行した順ちゃんも参加して、出かける事になったが, この地域は小山が多く点在して、農家の殆どが、みかん園の傾斜地である

したがって、竹藪も、殆ど傾斜地が多く、やわらかい地盤に根の深い竹が多い、

そんな事情で、あまり期待はせず、根が深い分長物が取れるかなと、気軽に出かけることになった

現地の入り口は、車一台やっとの、細い生活道路、小さな小川に沿って、緩やかな上り坂である、

S氏の軽乗用車は、我々にお構いなしに、どんどん先に進む

途中この先、道路工事のため通行禁止の看板、にもかかわらづ、S氏の軽乗用車は、すでにはるか先に進んでいる

我々も恐る恐る、追従するが、進むにつれ道が険しくなる、朝のひんやりした空気が、この先の不安と緊張を、さらに高める
                        


 やがてS氏の車が、枝道の広場に止めてあるのが見えてきた、

枝道は急坂で、S字状に、山手へ駆け上がって見える、

S氏が言うには、この上100m行った所だ、車も入れるぞ、とは言うもの、怪しげな山林に車を上げる勇気が無く、順ちゃんと私はこの先、歩く事にする

S氏は、構わすエンジン全開で急斜面を突進していく

竹堀道具の身支度をした二人は、ゆっくり急坂を登り始めた

辺りの竹林に目を移すと、あいにく、太そうな竹が多く、斜面に根深く立っている

道を登りきると、大きな広場が目に入ってきた、広場の左側と山手は、緩やかな斜面の、みかん園である、

ココの地主さん、N氏も後から様子を見に来るとの事

竹藪は右が急斜面で、対称外、

どうやら本命は山手奥の平場らしい

早速の偵察である

山手のみかん園の切れ目から、大きな竹林が見えてきた、近づくにつれ、手ごろな太さの竹林が左右に広がって見えてきた
 
山手奥の竹林は、予想道理の平場で、尺八に出来そうな、手ごろな太さの竹が群生していた、

地盤も思っていたほど、柔らかくはなく、長年蓄積してきたと思われる、腐葉土が、しっかりと締りのある地盤を形成している

この地域は、関東ローム層と呼ばれる赤茶色の、粉末を押し固めた様な地盤が、神奈川県内全域に分布する

関東ローム層は、箱根火山や富士山などの火山活動によって噴出した火山灰が、堆積、風化してできたものである。

またこの地層は、箱根火山や富士山だけでなく、中部地方の木曽御岳(きそおんたけ)、八ヶ岳(やつがたけ)などの火山や、

遠く九州の阿蘇(あそ)火山、姶良(あいら)火山、等から飛んできた、火山灰も含まれていると言われている

したがって、ごく新しい体積物で覆われた平地は、わりと地盤が締まっているが、傾斜地は表面の堆積土が流れて、やわらかい赤茶色の

関東ロームや沖積層など新しい時代の堆積物がむき出しになる、

したがって、傾斜地の竹林は、根が深く、節間も間延びして、殆ど尺八には、使えないものが多い

3人3様、平場の竹林めがけて、突入

私の見つけた、最初の一本は2尺2寸の長管サイズ、尺が長いと、その分根も深い、私の道具はいつも道理の斧型、

しかし長物を掘りだすには、突きのみタイプが威力を発揮する、そばで純ちゃんが、てこずる私の様子を見て、突きのみの道具を差し出す

ありがたく、借りて掘り始めるが、なかなか、主幹に辿りつかない、力ずくで竹を左右に振りまわすが、相変わらず強情な根っこが踏ん張り続ける

突きのみをさらに、地中に叩き入れるが、なかなか言う事を聞かない

そして、 とうとう、やってはいけない事を、......   力任せに押し倒すと、「みしっ」  もんどり打って倒れた竹の根元が、

「パックリ」と ヒビがはいってしまった .......

皆さんも 竹掘りは どうかあせらず、掘りましょう!!!

この失敗にもめげず 1尺8寸と1尺9寸をゲット

そこへ 地主さんN氏がやってきた 友人の義さんも一緒である、義さんはなにやら小脇に細長い「つる」をいっぱい抱え込んでいる

「アケビのつる」らしい、

ココで 地主さんN氏に、竹材の年数の見分け方を、色々伝授されるが、良く分からない 竹の色付き加減、枝のひらき 節に付いた黒ずみ 

皆同じく見えるのは、まだ未熟物である

皆が揃ったところで、早めの昼食にする
 
竹林のだらだら道を下って行くと、小春日の陽光がみかん畑を包み込み、大地のぬくもりが体いっぱいに感じられる

先ほど悪戦苦闘した長物の竹を背負い、いささか汗ばむ状況ではあるが、久しぶりのこの自然の開放感が実に心地よい

今まで気がつかなっかたが、広場に炭焼きの窯がバラック立てで設置されている
     
 
友人の義さんは下で、昼飯の、インスタントラーメン作りの最中である
 
 
地主さんN氏はここで、毎日、気の向くまま、炭焼きや竹細工の色々な物を製作して、創作の楽しみを趣味としているらしい
       
       
       
 
昼飯が終わると、地主さんN氏自らの、あけび細工の技術指導となる
       
 
この度は、竹取もさることながら、ごく近場でこんな楽しみに出会え 本当に嬉しい一日でした
 
 本日の収穫 長物4本

果たしてどんな、一品になるのやら

数年先に夢を繋げて保管中である